この度、友情結婚いたしました。
同じ場所に同じぬいぐるみが沢山並べられていた。

「……可愛いな、やっぱ」

おもむろに手を取り、部屋にある同じぬいぐるみをまじまじと見つめてしまう。


この前春樹と来たのだって幼い頃、お互いの家族と共に水族館に行った時以来だった。

初めて見た大好きなイルカに興奮しちゃって、散々春樹にバカにされた記憶がある。
だけど春樹は、あの幼い日のことを覚えてくれていたんだよね。


ううん、イルカだけじゃない。

私がちょっとでも落ち込んだりしていると、誰よりも先に気づいてくれて、下らない話を持ちかけてきては笑わせてくれたり、愚痴を聞いてくれたよね。


いつも喧嘩ばかりで、下らないことで言い争いをしちゃうのは、それだけ私が春樹に心を許しているからなのかな?

もし、さっき琢磨に聞かれたように春樹にも同じことを聞かれたら間違いなくこう言っちゃうもの。


「私がイルカ好きだってこと、忘れているの?」って。


そんなこと、とてもじゃないけど琢磨には言えない。……それはつまり、春樹ほど琢磨に私は心を許していない証拠なのかもしれない。


でもそれイコール好きには結び付かない気がする。
心を許しているのは、生まれた時からずっとそばにいたからであって、それこそ友情からくるものなのかもしれないし……。


無意識にぬいぐるみを持つ手が強まってしまったその時、不意に感じた視線。


「あれ……?気のせい?」


ジッと見られていた気がしたんだけど……。
周りを見回すも、誰も私のことなど見ていない。
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