ENDLESS
あれから、数ヶ月が過ぎ、
季節は、もう、冬。
二学期も、あと少し。
俺と君との生活は、うまくいっている。
君は相変わらず我が儘を言っては、俺を振り回すが、
日々は、優しく、愛しく、
俺は、そんな関係に、幸せを感じていたりする。
だから、
「なぁ、ここ、引っ越そうか?」
そう、君に、切り出す。
「何で……?」
「やっぱ、1Kに二人は狭ぇだろ。それに、おまえも来年は二年生だし、受験も意識して勉強するなら、もっと集中できる環境のほうがいいと思って」
俺は、君が、大切だ。
だから、
この先のことも考えてのことだったのだが、
「うん……」
君は、肯定しながらも、表情を曇らせる。
「どうした?」
「べつに……」
そして、その日から、君は、変わった。
君は、以前ほど、我が儘を言わなくなった。
いや、言わなくなったのではない。
言いかけて、飲み込む。
目を合わせると、逸らす。
笑いかければ、寂しそうにする。
俺は、何か、悪いことをしてしまったのだろうか……
それなのに、夜、一緒に眠る時には、ぎゅっと手を握って、すり寄ってくる。
嫌われてはいないようだが……
いずれにしろ、君の様子が、どこか変わったのは確かで、
その心当たりがあるとすれば、
そう、俺が、引っ越そうか、と切り出したことしか思い浮かばないから、
「引っ越し……乗り気じゃなかったら、無理することねーから」
「そういうわけじゃ……」
それは、君のことを考えてのことだったが、
「でも、あれから、何か変だろ……」
君が、望まないなら、意味がない、
だから、
「そんなこと……ないよ」
忘れてくれて、かまわない。
「嘘……」
○●○●○