フキゲン課長の溺愛事情
「とはいえ、彼女は総務部広報課の方がメインだろう?」
「まあそうですね。でも、いつも原稿の最終チェックとかをお願いしています」
「そうみたいだな……」

 達樹が食事をする間、璃子はテーブルに着いていたが、彼が食べ終わったので立ち上がった。

「それじゃ、先に休ませてもらいますね」
「ああ、晩ご飯、ありがとう。ホントにうまかったよ。こういうのもいいもんだな」
「こういうのも?」

 璃子は歩きかけた足を止めた。振り返って達樹を見ると、彼は横を向いて前髪をくしゃりと掻き上げた。

「いや、前も言ったけど、俺は――俺たちは――それぞれ外食したり弁当を買ってきたりすることが多かったから」

 彼の言う『俺たち』とは、ここに住んでいた女性、つまり達樹の元カノと彼のことだろう。

(課長の元カノは夕食をあまり作らなかったのかな)

「ご迷惑でなければ、明日の夕食も作りましょうか?」

 璃子の申し出に、達樹が首を振る。
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