フキゲン課長の溺愛事情
 達樹に問われて、璃子は大きく首を振った。

「い、いえ!」

(か、課長と間接キスなんて~。あのセクシーな唇と~)

 ひとりでドキドキしている璃子の横で、達樹がプリンとジェラートを買った。さっき温泉に入ったばかりなので、足湯には入らず、ふたりで並んでベンチに腰を下ろす。

「水上はどっちから食べる?」
「わ、私はプリンから食べようかな……」

 そう思ったが、きれいに食べられずカラメルソースがぐちゃぐちゃになったプリンを彼に見られるのは嫌だ。

「やっぱりジェラートからがいいです!」

 達樹がジェラートを差し出し、璃子は両手で受け取った。

「ありがとうございます。いただきます」

 そっと舌を出して舐めると、甘さは控え目でミルクの濃厚な味がした。

「んー、おいしい!」
「本当?」

 達樹が顔を寄せてきたかと思うと、璃子の手の中のジェラートをペロリと舐めた。
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