フキゲン課長の溺愛事情
「来年は絶対にエコハウスの会員になります! そして棚田を見に来ます!」
「それがいい。何時間でも見てられる」
「課長は実際に泊まったこと、あるんですよね?」
「一度だけな」
「わあ、いいなぁ。きっと静かで癒やされますよね」
「そうだな。でも、完全に無音ってわけじゃない。虫や鳥の声、風の音なんかが聞こえるんだ」
「ステキ! でも、課長はそれ以来利用してないのに、年会費だけ払ってたってことですよね?」
「そういうことになるな。帰国したらまた利用しようと思ってたんだ。それなのに、五年も赴任することになるとは思わなかったからな。気づいたらそのままになってたって感じだな」
「そういうところはアバウトなんですね」
「おおらかと言ってくれ」
そんなふうに他愛ないことを話しながら、土の匂いのする小道を歩く。それにとても癒やしを感じてしまうのは、奥美郷の風景のせいか、隣を歩く達樹のせいか。
璃子が彼をチラッと見たとき、達樹が前方を指さした。
「見えてきたぞ。あれがそうだ」
達樹の指さす方、田んぼの先に緑の木々に囲まれた大きなかやぶき屋根の家が見えた。
「それがいい。何時間でも見てられる」
「課長は実際に泊まったこと、あるんですよね?」
「一度だけな」
「わあ、いいなぁ。きっと静かで癒やされますよね」
「そうだな。でも、完全に無音ってわけじゃない。虫や鳥の声、風の音なんかが聞こえるんだ」
「ステキ! でも、課長はそれ以来利用してないのに、年会費だけ払ってたってことですよね?」
「そういうことになるな。帰国したらまた利用しようと思ってたんだ。それなのに、五年も赴任することになるとは思わなかったからな。気づいたらそのままになってたって感じだな」
「そういうところはアバウトなんですね」
「おおらかと言ってくれ」
そんなふうに他愛ないことを話しながら、土の匂いのする小道を歩く。それにとても癒やしを感じてしまうのは、奥美郷の風景のせいか、隣を歩く達樹のせいか。
璃子が彼をチラッと見たとき、達樹が前方を指さした。
「見えてきたぞ。あれがそうだ」
達樹の指さす方、田んぼの先に緑の木々に囲まれた大きなかやぶき屋根の家が見えた。