フキゲン課長の溺愛事情
 達樹が近づき、ふたりでがっちりと握手をした。

「五年ぶりですね」
「はい。ストックホルム赴任前にお会いして以来ですね」
「こちらは……?」

 海翔が璃子を見たので、達樹が彼女を片手で示しながら言う。

「同じ会社の水上です」
「環境都市開発部広報室の水上璃子と申します」
「古民家@ホーム代表の柳瀬海翔です」

 璃子に続いて海翔もお辞儀をした。顔をあげて達樹に問う。

「今回はご見学だけということでしたね?」
「はい。実際に設備を見てみたら、水上の仕事に役立つんじゃないかと思って、日帰りで来たんです」
「今日の宿泊者は午後に来る予定なので、ご自由に見学してください。僕は窓を開けて空気を入れ換えてます。気に入ったら、今度はぜひ泊まりに来てください」

 海翔は最後のセリフを璃子に向けて言った。璃子はあわてて胸の前で両手を振る。

「いえ、私、会員じゃないんで」
「会員じゃなくても会員のお連れ様なら大丈夫ですよ」
「あ、でも、私、連れっていうか……」
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