フキゲン課長の溺愛事情
璃子がチラッと達樹を見ると、彼が表情を変えることなくあっさりと言う。
「水上はただの会社の後輩です」
「あ、そうなんですね、失礼しました。それじゃ、鍵を開けますから、どうぞこちらへ」
海翔に促されて、達樹が歩き出した。そのうしろ姿を見ながら、璃子は、たしかに彼の言う通りなんだけど、とがっかりしてしまう。
(他言無用とはいえ、ここは会社からすごく離れてるのに)
『ただの会社の後輩』と『おもしろい同居人』だったらどっちの方がいいんだろう。そんなことを思いながら、早足でふたりの後を追いかけた。
璃子の前で、達樹が海翔に話しかける。
「水上が温泉で見かけたと言ってましたが、奥様はお元気ですか?」
「おかげさまで。娘も三歳になりましたよ。今、妻は二人目を妊娠中なんです」
「それはそれは。おめでとうございます。仕事でご一緒させていただいたときは、まだ新婚でしたね」
「はい。月日が経つのは早いですね。石川さんはお元気ですか?」
海翔が玄関の鍵を開けながら振り返って達樹を見た。達樹の口もとの笑みが消えたのに気づき、海翔がしまった、というような表情をした。
「水上はただの会社の後輩です」
「あ、そうなんですね、失礼しました。それじゃ、鍵を開けますから、どうぞこちらへ」
海翔に促されて、達樹が歩き出した。そのうしろ姿を見ながら、璃子は、たしかに彼の言う通りなんだけど、とがっかりしてしまう。
(他言無用とはいえ、ここは会社からすごく離れてるのに)
『ただの会社の後輩』と『おもしろい同居人』だったらどっちの方がいいんだろう。そんなことを思いながら、早足でふたりの後を追いかけた。
璃子の前で、達樹が海翔に話しかける。
「水上が温泉で見かけたと言ってましたが、奥様はお元気ですか?」
「おかげさまで。娘も三歳になりましたよ。今、妻は二人目を妊娠中なんです」
「それはそれは。おめでとうございます。仕事でご一緒させていただいたときは、まだ新婚でしたね」
「はい。月日が経つのは早いですね。石川さんはお元気ですか?」
海翔が玄関の鍵を開けながら振り返って達樹を見た。達樹の口もとの笑みが消えたのに気づき、海翔がしまった、というような表情をした。