フキゲン課長の溺愛事情
それから沙織ののろけ話と愚痴を聞いてガールズトークに花を咲かせた後、璃子は達樹のマンションに戻った。エレベーターを降りてドアの前に立ち、ショルダーバッグから達樹にもらっている合い鍵を取り出す。
(課長、もう帰ってるかな……)
昨晩のことは間違いだったと言われても、冷静に話をしよう。そう決意して鍵穴に鍵を差し込んだ。そっと回したが、ガチャリ、と大きな音が響いてビクッとなる。どうにか気持ちを落ち着かせてドアノブに手をかけようとしたとき、ドアが内側から開いたので、璃子はあわてて一歩飛び退いた。
「璃子!」
達樹が璃子を見て、フーッと大きく息を吐いた。
「出かけるなんて聞いてなかったから……なかなか帰ってこないし、どこへ行ったのかと心配してた」
「すみません。沙織と飲んでました」
璃子は達樹が大きく開けてくれたドアから中に入った。シューズボックスの上の置き時計を見て、十一時を過ぎていることに気づいた。
「あ、もうこんな時間なんですね。課長は二次会にも行かれたんですか?」