フキゲン課長の溺愛事情
璃子は達樹の手を振り払おうとしたが、彼の手は力強く、びくともしない。達樹の目が、璃子の心を見通そうとするかのようにまっすぐに見つめてくる。
(そんなふうに……見ないで!)
彼に見つめられているのがつらくなって、璃子はとっさにショルダーバッグを持った右手を振り上げた。
「璃子!」
彼の胸を叩こうとした寸前、達樹が左手で払ったので、ショルダーバッグが廊下に落ちた。弾みでバッグのマグネットボタンが外れて、中身が廊下に散らばる。財布やスマホ、ポーチが転がり出て、結婚式の招待状入りの封筒とご祝儀袋が覗いた。達樹の表情が怪訝そうになる。
「なんで璃子がそれを持ってるんだ?」
「課長が忘れてたからっ、届けに行こうとしたんですっ」
「なぜ?」
「だって、ご祝儀袋を忘れたら困るでしょう!?」
達樹は小さく首を振った。
「ご祝儀袋はちゃんと持っていったよ。もうすぐ後輩の結婚式もあるから二枚買ったんだ。そっちは今日はいらない方だ」
「えっ」
(そんなふうに……見ないで!)
彼に見つめられているのがつらくなって、璃子はとっさにショルダーバッグを持った右手を振り上げた。
「璃子!」
彼の胸を叩こうとした寸前、達樹が左手で払ったので、ショルダーバッグが廊下に落ちた。弾みでバッグのマグネットボタンが外れて、中身が廊下に散らばる。財布やスマホ、ポーチが転がり出て、結婚式の招待状入りの封筒とご祝儀袋が覗いた。達樹の表情が怪訝そうになる。
「なんで璃子がそれを持ってるんだ?」
「課長が忘れてたからっ、届けに行こうとしたんですっ」
「なぜ?」
「だって、ご祝儀袋を忘れたら困るでしょう!?」
達樹は小さく首を振った。
「ご祝儀袋はちゃんと持っていったよ。もうすぐ後輩の結婚式もあるから二枚買ったんだ。そっちは今日はいらない方だ」
「えっ」