君を想う



藤崎斗真の腕の中で心地よさに顔を埋めていると急に離された。

「藤崎さん?」

「藍川に会わせたい人がいるんだ」


会わせたい人って誰だろう……。

「会わせたい人って誰ですか?」


「藍川の思い出のあの人が今、近くに来ているんだけど。お前に会いたいんだってさ」

「えっ!?あの人が……近くにいるんですか?」


私はキョロキョロと辺りを見回した。


「君、久しぶりだね」


「えっ……藤崎さん?」

急に口調が変わった藤崎斗真に戸惑う。


「君は頑張ったんだな、それで、なりたかった仕事に就けたんだ。良かったな」

「ちょっと、藤崎さん?どうしたんですか?ふざけてるんですか?」

「それから、ごめん。あの日、傘を差し出してくれた君に冷たい反応しかできなくて。
君のことを知らないヤツだなんて言ってしまったけど……ホントは分かっていたんだ。
君があの子だって事を……」


藤崎さんが……あの人なの……?


「言い訳にしか聞こえないと思うけど、あの時は彼女にフラれて俺は自分のことでいっぱいで、やるせなくて……どうにもならない想いを藍川にぶつけてしまった」




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