B級恋愛
妹の結婚式から一週間が経過した。
妹夫婦がハネムーンのお土産を届けにきたが杏子は二人の姿を見ることはしなかった。義弟と会う気なんて更々無かったし、会いたくもなかった。禿げ嫌いになった『元凶』に…
―――だから『逃げて』きた。お気に入りのこの場所に…
休日ではあったがまだ早い時間のせいか客は疎らだ。参考書を広げ勉強をする者、スマホを弄る者、料理の写真を撮る者と皆それぞれの時間を過ごしている。
杏子は携帯を取り出して注文したフラペチーノの写真を撮りSNS内のコミュ内に貼り出す。顔を知らないコミュの仲間たちの投稿を見るのも楽しみのひとつだ。投稿すると一度SNSを出る。
また別のSNSを開く。今度は携帯小説のSNS。ファン登録をしている作者さんの更新を見る。特に無いようだったため自分の作品を更新していく。書いているのはファンタジー。杏子の好きなジャンルの一つでよく書いているジャンルだ。今は最初の山場を迎えていてボタンを押す手が止まらない。書かない時は長く書かないこともあったりするため書けるときは一気に書く。それが杏子のスタイルだ。

(CDラジカセを持ってくればよかったかな…)

ふとこんなことを思った。

ストーリーに行き詰まったわけではないがより集中力をあげるのには必需品だ。少しだけ後悔をした。
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