SEXY-POLICE79
―きり…―ほ…――。
―桐野―……補…―。

聞こえてくる人の声。

男はゆっくりとその瞳(ひとみ)をあける。

「須田…さん」

俺は、生きているのか…。

桐野は自分の胸に巻かれた包帯の痕をなぞる。ちゃんとふさがっている。ということは、助かったのか。

「須田さ――」

名前を呼ぼうとしたところで、ぺしっと須田にでこぴんをくらわされた桐野警部補。

「あまり、一人で全部抱え込まないでくれ」

須田はずっと手を握り締めていてくれたのか、また一層締めが強くなる。

こんな顔をさせたかったわけじゃない。

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