SEXY-POLICE79
署長はそう言うと女の子を桐野に預けて自分は署に戻るため病室を去る。病室には桐野と名もわからない少女と倶召神が残る。まったく、厄介なものを押し付けれてしまったものだ。

「あ―、どうしたもんかな。名前もわからない声も出せない字も書けない、これじゃあいくら事件の目撃者だって犯人の手がかりすらつかめねーじゃねえかよ」

桐野は頭をかりかりと掻いて唸っていると女の子が小さな手で服の袖をひっ掴む。桐野はなんだよと女の子を睨みつけるが女の子は怯えることなくにこにこと楽しそうに笑っている。さっきの怯えきった表情はどこへやら、女の子は遊んでほしいのかついついと袖を引く。 桐野は仕方ねぇなとまだ少し痛む体を起こして、少女を抱き高い高―いとすると、少女は楽しいのかきゃっきゃと笑う。それを倶召神が横目で見物している。

「子供扱いがうまいデスね。桐野さん」
「うっせーなぁ、好きで好かれてんじゃねぇよ」

女の子はもう一回してほしいのかにこにこと笑って桐野に「してして」と表情で訴える。子供に弱い桐野は「はいはい」ともう一回高い高―いと女の子を持ち上げる。静かな病室がこの女の子のお陰で明るくなった。
と、その時扉を叩く音が聞こえた。

「桐野警部補。怪我の具合いは……」

声からして相手は男性。扉を開けて相手が見た光景は、子供と楽しそうに遊ぶ桐野警部補の姿。

「す、須田さん!!」

えらい所を見られてしまったと桐野は慌てて女の子を下ろす。須田は相当な衝撃を受けたのか暫くの間立ち尽くしてゆっくりと後ろのドアを閉めた。

「あの…これは、その、えと…」
「まさか君に、――――隠し子がいたなんてね」

須田はそう言うと女の子に近づいていく。女の子は見知らぬ男性が来て驚いたのか桐野の後ろに隠れる。

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