無愛想で糖度高めなカレの愛
そのことを思い出した私は、姿勢を元に戻してクスッと笑う。


「昔は甘いもの苦手だったのにな……。今じゃ舌が肥えちゃって、こんなだよ」


開発の仕事をする前は、どんなチョコレートも単純に美味しいと思っていたけれど。今では、“こうしたらもっといいんじゃないか”って考えるのが癖になっている。

批判的になっちゃうし、可愛いげがないよねぇ……。

嘲笑していると、河瀬くんは穏やかな口調で言う。


「だからこそいい商品を生み出せるんだし、僕達も信頼できるんですよ。燃えますしね」

「も、もえる?」


ありがたいことを言ってくれて嬉しいのだけど、最後の一言に引っ掛かってしまった。一瞬“萌える”の方かと思っちゃったよ。

どういうことなのかハテナマークを浮かべていると、彼は珍しく柔らかな笑みをわずかに見せて説明してくれる。


「あなたを満足させるチョコレートをいつか作ってやろうって、研究者魂に火がつけられたというか。僕が開発研究に熱心になるのは、そのせいでもあるんですよ」


それは思わぬ言葉で、私は目を開いた。もしかして……

“あなたの喜ぶ顔が見たいから”

いつか言っていたあの言葉の奥には、そんな想いもあったということ?

< 27 / 215 >

この作品をシェア

pagetop