無愛想で糖度高めなカレの愛
“全然”の部分を強調して言った。仲が良いと思われたくないし。

というか、夕浬くんからも恵次の名前が出たことに少しだけ驚く。


「河瀬くんも知ってたんだね」

「研究室にも挨拶しに来られましたから」

「そう……」


なんだ、とっくに夕浬くんとも顔を合わせていたのね。

それより、問題はあの人が何を考えているかだ。さっきのあの言葉は、本当に冗談じゃないのだろうか。

……まぁ冗談でも本心でも、関係ないことよね。私はもう、彼と仕事以上の付き合いをする気はこれっぽっちもないのだから。


「……どうかしました?」


考え込んでしまっていた私の顔を夕浬くんが覗き込み、またはっとさせられた。


「あ、ごめん、何でもない! そろそろ戻らなきゃ。これ、ありがとね」

「待って」


足早に去ろうとすると、ぐっと腕を掴まれた。見上げれば、眼鏡の奥にすべてを見透かすような瞳がある。

もしかして……私達の関係に気付いた、とか?


「言い忘れてました。ここのグラフなんですけど……」

「へ?」


ギクリとしたものの、私に接近した彼は資料を指差して話し始める。

なんだ、びっくりした……。

別に内緒にしなくてもいいのだろうけれど、なんとなくバレたくなくて、私は内心ホッとしながら彼の話を聞くのだった。


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