無愛想で糖度高めなカレの愛
ちらりと前列の壁側の席に目をやると、女性社員に捕まっている恵次が見えた。

楽しそうに話しているのを見ると、休憩スペースで会った時に私に掛けたあの言葉も、たいして深い意味はなかったように思える。

やっぱりあれはただの気まぐれだったのだ、と胸を撫で下ろす私に、美結ちゃんがチヂミを取り分けながら問い掛けてくる。


「先輩こそどうなんですか? その後のこと、何も聞いてないんですけど」


その後っていうのは、夕浬くんとのことよね。

「どうもなってないからねぇ」と苦笑混じりに答えると、彼女は不満げに口を尖らせた。


「えーつまんなーい。彼に女の影がないからって油断してると、他のコに取られちゃいますよ? あ、ほら」


美結ちゃんが指差す方を見やると、前方のテーブルの、恵次と対角線上にある席に座っている、夕浬くんの背中があった。

彼の隣には、美結ちゃんより若い広報課の女性社員が寄り添い、ニコニコと何かを話し掛ける彼女の横顔が見える。

途端に、胸がざわざわとし始める。……嫌だ。くっついてほしくない。


「ああいうタイプの男子って、意外と隠れファンがいるんですよ。先輩も危機感持っとかないと!」

「う、うーん……」

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