無愛想で糖度高めなカレの愛
八分目までビールを注ぐと、お隣りの夕浬くんの方を振り向く。

じっと私を見つめる瞳にドキッとしつつ、笑顔で軽く瓶を掲げてみせる。


「河瀬くんもどう?」

「じゃあ、いただきます」


まだビールが半分以上入っているグラスを手に取るのを見て、彼の反対側にいた広報の女子は、私達に遠慮がちに会釈して去っていく。

追い払ってしまって、少しだけ申し訳ない気持ちになるけれど、私も引けないの……ごめんなさい。


また心の中で謝りながらも、目線はビールを飲む夕浬くんの姿へ無意識に移っていた。

上下に動く喉仏も、グラスに付けた唇もセクシーで見惚れてしまう。

この唇の柔らかさと温もりは、ここにいる人達の中ではきっと私しか知らないのだと思うと、身体の奥が熱を帯びてくる。


……って、何考えてるの私! ヘンタイ!

煩悩を消すように、慌ててお酌する手元に目線を落とした。

そして、まだ早いけれど改めて室長に挨拶をする。


「今年もお世話になりました」

「いやいや、こちらこそ。間宮さんはいつも明るいしやる気満々だし、私も活力をもらってるよ」


そんなふうに言ってもらえると、本当に嬉しい。

照れ笑いを浮かべる私だけれど、室長は私を通り越して夕浬くんに目線を向け、こんなことを言う。

< 91 / 215 >

この作品をシェア

pagetop