流れ星スペシャル


「オレ、焼きが出来るんやけど」


ひとりの大学生が話し出した。


「店が困るんなら残ったってもいいけど、時給上げてもらわな無理かな」


なんてもったいつけて言う。




「なら結構です」


スーツの男は即答で断った。


プ。


うるるんと目が合って、ふたりして笑いをこらえる。




「は? みんな辞めたら困るやろ? それに今って、アルバイト募集してもなかなか集まらんって聞くで」


「ええ。事務の担当者から、そう聞いています」


「だから、残ったってもええって言うてるねん。オレは焼きもできるし、キャリアも長……」


「いえ、結構です」


まだ言いかけの言葉に被せて、男はスパッと切った。


プハ。




いつも生意気なやつの鼻っ柱を折ってくれて、オレとしてはかなり気持ちいいけど、でも、あの学生の言うことも間違いではない。


みんなが辞めてしまうと、営業できへんからな。


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