ヴァイス・プレジデント番外編
親の関係のお相手なんて、まさしくザ・お見合いって感じだ。

延大さんが、そんなきっかけで誰かと結婚するなんて、信じられない。

断りきれなくて、お母様の顔を立てるためにとか、そんな事情があったんだろう。

ヤマトさんとも、そう言いあって笑った。





「ノブヒロって、お前の兄貴?」

「そうだけど、なんで?」



ある日の帰り、少し早めに帰れた私と、遅くなったヤマトさん、城さんとがたまたま一緒になった。

同僚みたいに肩を並べて歩くふたりに追いつくと、ちょうどよかった、と城さんが笑って私を間に入れてくれる。



「延大さんが、どうかなさったんですか」

「久良子ちゃんの相手って、その兄貴なの?」



あまりに自然な問いかけだったので、私は危うく、よくご存知ですね、と口走るところだった。

慌てて飲みこみ、ヤマトさんを見あげると、ヤマトさんがじろっと城さんをにらむ。



「すずを困らせるな」

「久良子ちゃん、俺すっごいタイプなんだよ。ああいうの、たまんねえ」

「久良子さんは、ダメだよ」



だから、兄貴なんだろ? と笑む城さんに、ヤマトさんは無言で微笑み返す。

さすが城さんは、秘書室内の会話や人事の噂なんかでぴんと来たんだろう。

このぶんだと、和華さんと暁さんも、もうとっくにふたりのことを知っているのかもしれない。



「でも、お前の兄貴って、見合いしたって話じゃねえか」

「断るよ、きっと」

「別れてたら、俺が久良子ちゃんもらう」



何も言わないヤマトさんは、片手をポケットに入れて、ぶらぶらと歩くばかりだ。

そんなヤマトさんを見て、城さんがふんと笑った。

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