ヴァイス・プレジデント番外編
「兄貴って、経営コンサルだっけ。専門は?」
「アライアンスとM&A。メインは、うちみたいな中堅企業の。頼まれれば経営合理化とか、中小の起業なんかも見るらしいけど」
「やってけんの、ひとりで」
「もう顧客もついてるし。総合コンサル会社と提携したりもするみたい。あとは、育成に回りたいんだってさ」
ふうん、と夜空を見あげながら、城さんがつぶやいた。
「かっこよさげだな」
「俺の兄貴っぽいだろ」
「…お前、もう少し謙遜とか、覚えたほうがいいよ」
そう? と不思議そうにヤマトさんに訊かれて、私は返答に困った。
ヤマトさんは確かに自信家なんだけど、尊大とか謙虚じゃないとか、そういうのとは何か違って。
なんというか、誰もが生まれ持っている自信というものを、少しも失わずにここまで育っただけなんだろうな、という気がする。
きっと、みんな生まれた時は一様に自信家で、世界を知ったり失敗や挫折をしたりするうちに、徐々に自信をなくしていくに違いない。
この人は、幸運なのかなんなのか、それを完全に保ったまま大きくなることができた。
それだけなんじゃないだろうか。
知らないけど。
ええと、と言葉を選ぶ私を気にせず、城さんが鞄を振りながら、楽しげに言う。
「さすが、いい女は趣味もいいな」
「じゃあすずも、いい女ってことだな」
「すずちゃんは『いい女』には早いだろー、可愛いけど」
「見くびるなよ。すごいんだぞ、すずは」
「すごいって、何が」
「そりゃあ」
私はヤマトさんが何か言う前に、バッグで思いきり背中を殴って黙らせた。
最低!