ヴァイス・プレジデント番外編

「兄貴って、経営コンサルだっけ。専門は?」

「アライアンスとM&A。メインは、うちみたいな中堅企業の。頼まれれば経営合理化とか、中小の起業なんかも見るらしいけど」

「やってけんの、ひとりで」

「もう顧客もついてるし。総合コンサル会社と提携したりもするみたい。あとは、育成に回りたいんだってさ」



ふうん、と夜空を見あげながら、城さんがつぶやいた。



「かっこよさげだな」

「俺の兄貴っぽいだろ」

「…お前、もう少し謙遜とか、覚えたほうがいいよ」



そう? と不思議そうにヤマトさんに訊かれて、私は返答に困った。

ヤマトさんは確かに自信家なんだけど、尊大とか謙虚じゃないとか、そういうのとは何か違って。

なんというか、誰もが生まれ持っている自信というものを、少しも失わずにここまで育っただけなんだろうな、という気がする。


きっと、みんな生まれた時は一様に自信家で、世界を知ったり失敗や挫折をしたりするうちに、徐々に自信をなくしていくに違いない。

この人は、幸運なのかなんなのか、それを完全に保ったまま大きくなることができた。

それだけなんじゃないだろうか。

知らないけど。


ええと、と言葉を選ぶ私を気にせず、城さんが鞄を振りながら、楽しげに言う。



「さすが、いい女は趣味もいいな」

「じゃあすずも、いい女ってことだな」

「すずちゃんは『いい女』には早いだろー、可愛いけど」

「見くびるなよ。すごいんだぞ、すずは」

「すごいって、何が」

「そりゃあ」



私はヤマトさんが何か言う前に、バッグで思いきり背中を殴って黙らせた。

最低!



< 104 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop