ヴァイス・プレジデント番外編
性急で強引なわりに、キス自体は礼儀正しく、むしろ遠慮がちといってもいいくらいだった。
私の腕をきつくつかんでいた手は、いつの間にか耳元へと回り、長く伸ばした髪を優しく梳きながら、何度も柔らかく唇を重ねてくれる。
アルコールも手伝って、私はどこか、ふらふらと足元がおぼつかないような心持ちだった。
ふと唇が離れて、目をのぞきこまれる。
特に責めているつもりはなかったけれど、やっぱりあまりに唐突だったので、少しの驚きとあきれが顔に出ていたんだろう。
延大さんは、ちょっと照れくさそうに微笑むと。
「…嫌じゃないよね?」
少し不安そうに、そう訊いてきた。
その正直さに、私は声を出して笑った。
うなずくと、延大さんがまたキスをくれる。
綺麗な部屋だよ、と言いながら、手を引いて廊下を歩いたくせに、肝心の室内なんて確かめる暇も与えてくれず、入るなりまた私の唇をふさいだ。
私を抱きしめる腕の力が、痛いくらいで。
ちょっと緩めてほしくて、身動きのとれない中、かろうじて動く手で胸を叩くけれど、無視された。
首のうしろに回った手が、私の髪を優しくつかむ。
上を向いたと同時に、少し開いた唇から深いキスが来る。
彼がグラスで頼んでいた、赤ワインの味がする。
遠慮はもうどこにもなくて、ひたすらかき抱かれて貪られるのに、私も夢中で応じた。
ふいに、少しきつく唇を噛まれたと思ったら、ふっと拘束が解ける。
思わず大きく息をつく私を見おろしながら、両手でゆるく髪をかき回してくれるのに、ざわりと肌が粟立つのを感じた。
間近に見える瞳は、男の人らしい昂ぶりに濡れていて、その肩はまだ、熱い吐息に揺れている。
「もったいなくなってきちゃった」
私のグロスが移ったらしい唇を、何気ない仕草でなめながら、延大さんが言う。
どういうこと? と目で問うと、彼がふてくされたように眉根を寄せた。
私の腕をきつくつかんでいた手は、いつの間にか耳元へと回り、長く伸ばした髪を優しく梳きながら、何度も柔らかく唇を重ねてくれる。
アルコールも手伝って、私はどこか、ふらふらと足元がおぼつかないような心持ちだった。
ふと唇が離れて、目をのぞきこまれる。
特に責めているつもりはなかったけれど、やっぱりあまりに唐突だったので、少しの驚きとあきれが顔に出ていたんだろう。
延大さんは、ちょっと照れくさそうに微笑むと。
「…嫌じゃないよね?」
少し不安そうに、そう訊いてきた。
その正直さに、私は声を出して笑った。
うなずくと、延大さんがまたキスをくれる。
綺麗な部屋だよ、と言いながら、手を引いて廊下を歩いたくせに、肝心の室内なんて確かめる暇も与えてくれず、入るなりまた私の唇をふさいだ。
私を抱きしめる腕の力が、痛いくらいで。
ちょっと緩めてほしくて、身動きのとれない中、かろうじて動く手で胸を叩くけれど、無視された。
首のうしろに回った手が、私の髪を優しくつかむ。
上を向いたと同時に、少し開いた唇から深いキスが来る。
彼がグラスで頼んでいた、赤ワインの味がする。
遠慮はもうどこにもなくて、ひたすらかき抱かれて貪られるのに、私も夢中で応じた。
ふいに、少しきつく唇を噛まれたと思ったら、ふっと拘束が解ける。
思わず大きく息をつく私を見おろしながら、両手でゆるく髪をかき回してくれるのに、ざわりと肌が粟立つのを感じた。
間近に見える瞳は、男の人らしい昂ぶりに濡れていて、その肩はまだ、熱い吐息に揺れている。
「もったいなくなってきちゃった」
私のグロスが移ったらしい唇を、何気ない仕草でなめながら、延大さんが言う。
どういうこと? と目で問うと、彼がふてくされたように眉根を寄せた。