ヴァイス・プレジデント番外編
直感像記憶、といったかしら。
見たものを写真のように記憶して、後から記憶内で検索したり拡大したりして、情報を探すことができる能力。
私はどうやら、それに近いものを持っているらしかった。
教科書やスピーチ原稿などは、見たまま記憶して、ほとんど忘れない。
今回も、社長の顔に覚えがあると感じた時、脳裏に浮かんだのは緑色の一色刷りのページの映像だった。
右上にページ1/4ほどの写真があり、そこで彼が向かって左を向いて笑っている。
頭の中でページの右隅を拡大してみると、業界誌のロゴがあった。
だから、迷わずバックナンバーをあたったのだ。
そんな話をかいつまんで説明すると、会長が言葉をなくしたように私を見た。
「…うらやましいばかりだね」
「芸がなければ、持ちぐされです」
便利ではあるけれど、記憶をそのまま絵にできる画力もないし、丸暗記なんてやろうと思えば誰だってできる。
ああでも、ピアノを暗譜するのは楽で助かった。
だからといって、いい演奏につながるわけではないけれど。
「私にとっては、充分な芸だよ」
これもね、と言ってサプリのトレイを指してみせるのに、笑ってしまった。
それは芸ではなく、好意です、純粋な。
そこから来る、気遣いと献身ですわ。
私はいつだって、あなたのことばかり考えております。
あなた専用の秘書ですもの。
見たものを写真のように記憶して、後から記憶内で検索したり拡大したりして、情報を探すことができる能力。
私はどうやら、それに近いものを持っているらしかった。
教科書やスピーチ原稿などは、見たまま記憶して、ほとんど忘れない。
今回も、社長の顔に覚えがあると感じた時、脳裏に浮かんだのは緑色の一色刷りのページの映像だった。
右上にページ1/4ほどの写真があり、そこで彼が向かって左を向いて笑っている。
頭の中でページの右隅を拡大してみると、業界誌のロゴがあった。
だから、迷わずバックナンバーをあたったのだ。
そんな話をかいつまんで説明すると、会長が言葉をなくしたように私を見た。
「…うらやましいばかりだね」
「芸がなければ、持ちぐされです」
便利ではあるけれど、記憶をそのまま絵にできる画力もないし、丸暗記なんてやろうと思えば誰だってできる。
ああでも、ピアノを暗譜するのは楽で助かった。
だからといって、いい演奏につながるわけではないけれど。
「私にとっては、充分な芸だよ」
これもね、と言ってサプリのトレイを指してみせるのに、笑ってしまった。
それは芸ではなく、好意です、純粋な。
そこから来る、気遣いと献身ですわ。
私はいつだって、あなたのことばかり考えております。
あなた専用の秘書ですもの。