許嫁な二人

 あの時と同じように、バス停まで送ってもらっているのに
 今は隣を歩けない。

 5年前の自分と今の自分はなにひとつ変わっていないのに
 透も、透と自分の関係も、今はすっかり変わってしまった。


  (もう、もとに戻れない?)


 そう心の中で問いかけてみる。

 突然、激しいさみしさが突き上げるように沸き上がってきて
 唯は足を止めた。



   「唯ちゃん?」



 隣をあるいていた亮平も立ち止まり、訝しげに唯の名を呼ぶ。



   「な、なんでもないの。」



 慌ててそう言って誤摩化して、振り返りもせず歩きつづける透の背中を
 唯は見つめた。
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