許嫁な二人

 美穂はつきあっていた南高のチンピラと手をきりたがっていた
 だから力をかした。

 それ以上でも、それ以下でもない、と透は憮然とした顔で悠を見る。

 そんな透の視線をため息とともにはずして、



   「唯を傷つけるな。」



 そう言って、悠は階段をのぼっていってしまった。

 唯を傷つける?

 唯が傷つくのを見るのを一番おそれているのは俺なのに?

 そう思いながら、透は悠が去っていった階段を見つめていた。
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