許嫁な二人

 その次の日から、透は ”送る” とはいってこなくなった。

 でも唯が帰る道を、唯から少し間をあけてついてくる。

 そして唯がバスに乗ってしまうと、踵をかえした。



   「どうしたの、唯、瀬戸がストーカーみたくなってるって
    みんなが噂してるけど、、、ケンカでもした?」



 有未にそう話しかけられて、唯はため息をもらした。

 そういう噂がささやかれて、透がみんなから笑われていることを
 唯も知っている。

 なんとか透の行動をやめさせたいけど、透と話しをする勇気が
 でなかった。

 


 彼女じゃないと答えた透をつっぱねた自分。

 いったい透になんて言って欲しかったのか、唯はわからなく
 なっていた。

 自分は透に何を望んだのだろう。

 とにかくそんな悩みも、あと5日もすれば自然に解消する。

 自由登校になるからだ。

 推薦で家から通える短大に入学がきまっている唯は、もう学校に
 こなくてよかった。



 しばらくひとりになって落ち着いてみたかった。

 そうすれば何か答えが見つかるかもしれない。
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