許嫁な二人

 だから、最後の登校日の帰り、バスに乗ろうとしたところを
 ぐいっと腕を引っ張られた唯はびっくりした。

 ふりむくとそこには、透がいて。

 大きくひとつ息を吸いこんだ透は、はきだすように言葉をおとした。



   「唯、卒業式が終わったら、小里に来てくれ、話しがあるんだ。」



 それだけ言って、返事もできずに呆然と透をみあげる唯の背中を
 おして、バスにのせると透は踵をかえした。
< 120 / 164 >

この作品をシェア

pagetop