許嫁な二人

   「今日、こうして卒業の日を迎えたぼくたちは、、、。」



 卒業生代表のあいさつが続く。

 卒業式の間中、唯の心の中には、透にいわれた”小里にきてくれ”
 という言葉がうかんでは消えていた。

 唯は自分の席より前にすわる透の方を窺った。

 透は昨日の式練習にはきていなかったから、姿をみるのは
 ⒈ヶ月ぶりだ。

 その1ヶ月の間、唯は透のことばかりを考えていた。


  (いったい何の話しだろう、、)


 自分にとってよい話なのかどうかはわからない。

 でも、唯は小里に行くつもりになっていた。



 もう、逃げないでちゃんと透の話を聞く。

 そして、自分の気持ちも伝える。

 自分にとって透はかけがえのない人だと、、ずっと透に守られて
 きたから、自分はこうしていられるのだと、伝えるつもりだ。

 そして、、、


  (好きだとつたえるのは、、、)


 そこまでは勇気がでないかもしれない。

 でも、感謝の気持ちはちゃんと伝えたい。
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