許嫁な二人

 何故、こんなに焦っているんだろう、、、。

 何故、こんなに不安なんだろう、、、。

 胸が苦しくて、唯は胸元をぎゅっとつかんだ。

 決していつも近くにいたわけじゃないけど、自分を見つけてくれるのは
 いつも透だ、と唯は思う。

 修学旅行の時のように、、、、はぐれた自分を見つけてくれたのは透だ。

 でも、今晩、透を見送ってしまったら、、、きっと、、、。


 駅に着いた時には、もう発車時刻がせまっていた。

 巫女の姿で息をきらしている唯はとても目立ったし、変な目でみられも
 したけど、そんなことかまっていられない。

 もどかしい思いで改札をぬけホームにでる。

 見覚えのある後ろ姿を人と人の間に見つけた時、唯の心は震えた。

 電車に乗り込もうとしている、背の高い透の背中に、おもいきり
 手をのばした。



   「透くん!」

   「唯?」



 透の腕を掴んでひきとめて、なのに、息がきれて喋れない。

 目の前では、透が驚いて目を見開いて、唯を見ている。

 言わなきゃ、何か言わなきゃ、、早く、、。

 苦しい息を整えながら、唯はやっと、声をしぼりだした。



   「一緒に、、いて。、、、もう、離れない、、。」
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