許嫁な二人

   「そんなことより、早く冷たいものでもたのもうぜ。
    暑い。」



 手を伸ばしてとったメニュー表を透が広げて、4つの頭が
 それを覗き込む。

 すぐにそれぞれが注文をはじめて、透が告られてどうなったのか
 までは聞けなかった。



   「俺、碓氷家の蔵出しが何より楽しみなんだよ。」




 かき氷を頬張りながら、諸井がそう言い、なぜか碓氷神社の
 蔵出しには、今ここにいる4人で集まることになっていた。



   「あーあ、今日は唯ちゃんと二人で、部活のご苦労様会の
    はずだったのに、諸井くんのおかげで歴史の授業みたいに
    なっちゃった。」



 店をでて歩きはじめた良世が膨れっ面をしてそう言い、
 諸井は頭を掻いている。



   「でも、ホントに唯ちゃんが部活を続けれてよかったよ。」



 そうしみじみと言った良世の言葉に



   「ああ、ほんとだな。」



 と透が続けて言った。

 その言葉に目を見開いて透を見つめる唯に、透は
 憮然とした表情になると、もう一度言った。


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