許嫁な二人

 割り箸をクルクル回しながら亮平が不満をにじませた声で
 喋っている。



   「透が行っちゃったあとの、体育館は大変だったって。
    女の子がキャーキャー言ってさ。
    瀬戸くんが連れて行った女の子って誰?
    なんで瀬戸くんがお姫様だっこでつれてくのってさぁ。」

   「....................。」

   「いつも何かトラブルがあっても、俺は関係ありませんって顔で
    遠くから見ているだけの奴がさ、いきなり怪我した女の子を
    お姫様だっこだなんて、一体なんなの?って
    みんな思うだろう? そりゃ。」

   「......................。」

   「はぁー。」



 何を言っても黙ったまんまの透にむかってため息をおとした亮平は
 ちらりと伺うような視線を透にむけると



   「おまえ、唯ちゃん狙いなわけ?」



 と、どかんと一発、爆弾をひいたみたいな顔できりだした。



   「別に、そんなんじゃない。」



 一回だけ、ちらりと亮平をみてまた視線を元に戻し、無表情に
 喋った透にむかって、とうとう亮平はがなりたてた。



   「じゃあ、もう、なんなわけー?俺、唯ちゃん狙ってたのに!」
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