許嫁な二人
子猫を預けてから、悠は新聞配達が終わると、神社に顔を
だすようになった。
2、3日、間があくときもあったけれど、まめに悠はやってきて
子猫の世話をしていく。
顔をあわせるうちに、悠とは学校が同じなこと、父親がなくなって
学校へ行きながら、店の手伝いをしていること、少しでも家計を
助けるために、新聞配達をしていることなどを唯は知った。
唯も知らず知らずのうちに、中学の途中で病気のために
東京の学校へいったことなどを話していた。
「お客さん来てるんだろ、これを置いて俺は
もう帰るよ。」
そう言って、悠はキャットフードの袋をぶらさげて、ゲージ
が置いてあるほうへ歩いていく。
「そうだ、猫の飼い主が見つかりそうなんだ、
また、連絡する。」
「うん、わかった。」