許嫁な二人

   「じゃあ、男子は瀬戸くんで、女子は?」



 クラス委員がそう言った。

 透がまじめに作業にでないことは、わかりすぎるほどみんな
 わかっているので、一緒に係になれば責任を負わされると
 思ったのだろう。

 お互いに回りを盗み見るばかりで、手を挙げるものはいなかった。

 眉間にしわを寄せてため息をついたクラス委員は、
 決まらないことに業を煮やしたのか、



   「じゃあ、瀬戸くん一人にやってもらうことにします。」



 と無謀な決定を下した。

 唯は焦った。

 そうなったとしたら、作業にでない透にはクラスどころじゃない
 全校からの非難があつまるのではないか、、、。

 そんなことになったら、、、。



   「はい、私がやります。」



 思ったとたんに唯は手を挙げていた。
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