雨のようなひとだった。
「うわ、うまそうっすね」
「よかったーあり合わせなんですけど」
身体から湯気を立たせながらダイニングへ戻ると、ちょうど鍋がテーブルの真ん中にドンと置かれたところだった。
同居してからひとつ、わかったこと。
彼女は料理がダイナミックだ。大胆というかなんというか、細かいことを気にしない。たぶん全部目分量でこなしてしまうほどには手慣れていることに違いはない。
朝は和食を作ってくれるし、夜もこうして自分からすすんで台所に立ってくれる。
世話になるからこれくらいというのが彼女の言い分ではあったが、俺としてはただただ感謝とくすぶり続ける下心の行方をどうしたらいいのか頭を悩ませるくらいで。
同棲ではなく同居。
ダイニングとキッチンは共有で、個々の部屋がある。
要するにシェアハウスだと思えばいいわけで、食事当番を彼女が担ってくれていると思えばいいわけで。