雨のようなひとだった。
目を伏せて肩を抱いていた手を髪へと伸ばす。
少し身体を浮かせて協力してくれる彼女の優しさと慣れが、少し悔しい。
「……私も今から変な事言ってもいいですか」
「いいですよ」
俺は天井を仰ぐ格好のまま目を伏せているから、彼女がどこを見ているかわからない。
でも耳だけは彼女のすぐ傍にある。
だから、彼女が息を吸い込む音は容易く聴こえる。
一度吸って、吐いて。そしてまた吸って、……また吐いた。
「あのね……私も、真己さんとこうしてるとすごく落ち着くんです」
「え」
「こっち見ないでいいから」
「あ、ハイ」
(なんで言われるがままになってるんだ?)
自分にツッコミながらも敬語じゃなかった彼女の声に少し嬉しささえ感じながら、続きを待った。