雨のようなひとだった。
勿論最初は偶然だと思っていた。
彼女は女で、俺は男だ。
マキという名は女の方が圧倒的に多い。俺の方が珍しいんだ。
真己と書いて、マキ。
昔から名前だけだと女だと思われていたことのほうが多い。だから偶然だと思っていた。
だが、彼女自身についての情報があまりにあやふやなことが多すぎて『偽名では』という思いが拭いきれなくなってきたときにふと過ぎった。
俺も、マキだと。
「……なんで全部話してくれちゃうかな…」
天井を仰いで左腕を頭の下へ潜らせる。
すぐ傍に居る彼女がどこへ身を寄せたらいいのか戸惑っているのがわかり、右手を彼女の右肩へを回して身体を寄せさせた。
「あ、あの、真己さん」
「今夜くらいこうさせてくださいよ。……大丈夫、何もしないから」