Time Paradox
リリアーナは持ち帰る物をまとめると、モーリスの部屋に来ていた。


「モーリスさん、こんな素敵な服をどうもありがとう。昨日酔って失礼な事言ったかもしれないのに…」

リリアーナが言うと、モーリスは嬉しそうに笑った。

「とんでもない!あなたのお陰で病気までよくなってしまいそうですよ。リリアーナ様には人を変える力があるのかもしれませんね。」

「人を変えるだなんて!モーリスさんもみんな、心からいい人だっただけだわ!もっとこの家に居たいけど、私は過去に行ってお母様とお父様を助けなくちゃ。
迷惑じゃなかったら、また遊びに来るわ!」

「ありがとう。いつでも待ってるよ、ハンナ・ケインズ様。」

「違うわ、私はリリアーナよ。それじゃあ、さようなら!」

リリアーナはドアを閉めるまでモーリスに手を振った。


モーリスの部屋から玄関までやって来ると、ここでもみんなに挨拶をした。

「3日間、楽しかったわ。ありがとう!」

リリアーナがそう言うと、イザベラが抱きついてきた。

「リリアーナ様っ!行かないでっ!」

リリアーナは、そんなイザベラにやれやれと言った笑顔を向ける。

「私もここに居たいけど…大丈夫、また来るから。今度は友達として。」

イザベラは感激したのか、さらに強く抱きついた。

「ほらほらイザベラ、いつまでも帰れないだろ。子供じゃないんだから。」

デリックはそう言ってイザベラを引き剥がしている。

「リリアーナ様のご自宅まではこちらで送らせていただきますので。どうかお気を付けて。」

ルーカスの笑顔は本物だった。

「ありがとう、ルーカスさん。」

そうして二人は車に乗るまで見送られ、アーノルド家の人々ともお別れすることとなった。
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