Time Paradox

セドリックの悩み

二人はアパートに戻るとすぐ、セドリックとジャックの住んでいる部屋へと向かった。


「父さん、リリアーナは無事だったよ!」

セドリックは急に入って来たジャックに驚いたのか、抱えていた書類を床に落としてしまった。

「ジャック!2日も帰って来なかったなんて、心配したじゃないか!」

セドリックは構わずジャックを抱きしめた。

「俺は大丈夫。牢獄の中がこの家よりも快適だったからね!」

そう言ってジャックは笑って見せると、セドリックは露骨にむっとした顔をした。

「それより父さん、リリアーナが…」

ジャックに言われて初めて気付いたのか、セドリックはやや大げさなリアクションを見せた。

「リリアーナ様!許していただけるとは思っていませ…」

「大丈夫よ、それから敬語もやめて。事情は聞いてるわ。」

リリアーナは言葉を遮ってそう言うと、ジャックよりもくすんだグリーンの目を見つめた。

「…私の部屋の家賃があるからなのよね。私の部屋なのにどうしてあなたが払う必要があるの?ジャックに話したんだけど、私も何か仕事しようかと思って。」

セドリックはリリアーナとジャックを交互に見つめると、また心配そうにリリアーナの方を見た。

「しかし、もし仕事先でハンナ様だと気付かれてしまったら…?」

そう言われればそうだ、と言わんばかりにリリアーナは考え込んだ。

「だったら俺も同じ所で働くよ!この辺だと飲食店とかでしか求人出してないと思うけど、二人でだったら何とかなるって。」

ジャックの提案に、セドリックとリリアーナは渋々頷いた。

「いいか、ジャック。彼女に何かあったら守るんだぞ。…お前で頼りになるのかは別として。」

「あぁ。」

「でももし今回みたいに牢獄に放り込まれるような事があったら、私が助けに行くわ!」

「いや、きっと一緒に捕まるだろうけど…その時はその時だ!」

「そうならないためにも、今から使える魔法を増やしておく必要があるな。」

セドリックに2人も頷いた。
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