Time Paradox
そうと決まれば、2人はセドリックが抱えていた求人情報の中から、条件のいいバイト先を探すことにした。

「ここの喫茶店は時給850円だってよ?…まかない付きで!」

「へぇえ!それっていい方なのかしら?
モンフォワーシュでの相場が分からないから…」

リリアーナは言いながら、もっといいお店を見つけてしまった。

「ジャック!ここのレストランは時給が950円よ!もちろんまかないも付いてるし交通費も出るわ!」

「おお!この喫茶店と100円の差だな!それに少し遠いけど、歩いても行ける距離だし、交通費も貰えるかもしれないってわけだ!よくやった、リリアーナ!」

ジャックはリリアーナの頭をガシガシと撫でた。と言うより、髪を荒らしたという表現の方が適切かもしれない。

だがジャックの嬉しそうな笑顔に、リリアーナは不覚にも顔が熱くなるのを感じた。

「面接はいつでも受け付けてるらしい。明日、お店が忙しくなさそうな時間帯に行こう!」

「そうね。明日からすぐ働けるのかしら?」

「だいたいのところはそうなんじゃないか?休みも週に2日はくれるみたいだし。」

「こんなにいい所があったなんて!」

「…でも…」

ジャックは表情を曇らせた。

「でも…?」

「…いや、レストランだから少し危険かと思って。オープンテラスにもなってるみたいだし。」

「うーん、たしかに危険かもしれないな…」

いつの間にか後ろに立っていたセドリックも唸っている。

「1日8時間働かなきゃいけないけど、時給950円だから……1日で7600円稼げるわ。一ヶ月で…」

「16万7200円だ。」

セドリックの答えの早さに驚いた二人だが、どうやら先に紙を使って計算していたようだ。


「この部屋の家賃は、場所がいいだけに7万5千円だ。これでも隣よりはずっと安い方だが。」

セドリックが言うと、リリアーナは目を輝かせて言った。

「それでもまだ余裕があるくらいよ!」

だが、まだジャックは難しい顔をして言う。

「…他にも引かれるお金はあるから、やっぱりこのくらいの時給じゃなきゃやってけないな。」

その言葉にリリアーナもセドリックも頷いた。
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