Time Paradox
どうしてもリリアーナには、アドルフが何を考えているのか分からなかった。


思い悩んだリリアーナはバルコニーに出ると、少し肌寒い夜風を肌で感じた。

そして、たくさんの星の中で一際輝く大きな満月は深まる秋を告げていた。


アドルフとの結婚は、ハンナにとって理想のハッピーエンドであった。

だがリリアーナとなった今、そのエンドに疑問を持つようになった。


アドルフの事は好きだが、再会したばかりであの頃のようにはいかないだけだ。

リリアーナは自分にそう言い聞かせて納得すると、明日アドルフにそれを言おうと決心し、ふかふかのベッドに潜り込んだ。
< 91 / 229 >

この作品をシェア

pagetop