鬼部長の素顔


寝室を出ようとしていた部長は
いつの魔にか私の目の前に座っていて

さあ、こいっという、スタイル




だめだ……
逃げられない。
そう思い覚悟を決めた。



自分からしたことなんてない
だから加減すらわからない
部長の唇に触れた時、バランスを崩し
後ろに倒れこんでしまい
部長に覆いかぶさる形になった




『ご、ごめんなさいっ』


退けようとしたら部長に捕まってしまった


『……は、隼人さん』


「……優子、悪ぃ。また勃った」



た…った?
……あ、……えっ!?
私がアタフタしていたら
私の頬に触れて、私の目を見て話し出す


「俺は優子を可愛いと思うし、いつでも抱きたいと思う。だから素直に身体も反応する。俺からしたら、優子に勃たないって意味がわからねぇけど」


部長の言葉がすんなり入ってきた
今まで傷ついて、治ったと言い聞かせ
見て見ぬ振りをしていた傷

この人は…こんなにも簡単に
私の傷を治してくれたのか……


気がついたら、次から次へと
涙が溢れ、止まらなく
声をあげるくらい泣きじゃくっていた


部長はなにも言わず
子供をあやすように
優しく抱きしめてくれた
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