鬼部長の素顔


「それと……」


そう言って部長はまだ私の前に
片膝をついて
今度は小さな箱を手にしていた


「遅くなったけど、俺と結婚してください」


そう言って箱を開けてくれた
そこには、シルバーリングが二つ


「……って、結婚するんだけどな」


笑いながら私を見つめる部長
部長の顔が涙でぼやける


部長は私の左手を取り
薬指に指輪をはめてくれた



私はただ、泣くばかり
それでも麻耶先輩と直斗さんは
和かに私を見てくれる


「優子……俺のは?」


部長の言葉に
私はもう一つの指輪を取り
部長が差し出してくれた左手
薬指にはめた


「……俺と結婚してくれる?」


私の手を握っていう部長
答えなんて決まってるのに……


『ん…っ。よろしく、お願い…します』


そう言うと抱きしめてくれる部長
決まってる答えなのに

良かったって言うの……反則だわ。
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