季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
私は本当に壮介が好きだったのか?

嫌いではなかったと思うし、おそらく好きだから3年も一緒にいたんだと思う。

それなのに、どうして私はこんな時でさえ、涙のひとつも出ないんだろう?

それなりに恋人らしい事はしていたし、仕事の後に会って家に帰るのが面倒になり、いっそのこと同棲しようと言い出したのはどちらからだっただろう?

家事が面倒だった壮介だったのか、帰るのが面倒だった私なのか、よく覚えていない。

結局私たちは、お互いのメリットを同棲に見出だしたから、2年もの間一緒に暮らしていた。

それでもここ1年ほどの私たちの関係は、あまり甘くなかったような気がする。

義務のように生活を共にして、たまにお互いの性欲を満たした。

今となっては納得もいくけれど、一時期はまったくと言っていいほど、壮介が私を求めてくる事はなかった。

結婚が決まって少ししたら、また元のようにたまには求められはしたけど、私にとってはどちらでも良かった気がする。

そんな同棲生活をダラダラと続けるくらいならさっさと結婚したいと私は思っていた。

だけど壮介は、違ったんだな。

だからなかなか結婚しようと言わなかったのかも知れない。

どんなに一緒にいても、何度体を重ねても、壮介は私にはあんな顔を見せた事はなかった。


私が本当に壮介を好きだったかと考えるのと同じように、壮介もまた、私をそんなに好きではなかったのかも知れない。

それならせめてもう少し早く、そう言ってくれれば良かったのに。

付き合い始めた頃はまだ26歳だった。

壮介と3年の月日を過ごした私はもう29歳。

これから誰かと出会ってお互いを知って…なんてプロセスをまた一から始めて、ようやく結婚する頃には、私は一体いくつになっているんだろう?





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