季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
チキンを頬張りながらモスコミュールを飲み、私はぐるぐると考える。

父の仕事の都合で海外に住んでいる両親は、まだ壮介に会った事がない。

結婚式の二日前には日本に帰ってくると両親は言っていた。

派遣の仕事をしている事で、職場の人は招待していないのがせめてもの救いか。

招待した友人の数なんてたかが知れている。

それにしても、何かと小煩い大勢の親戚にこの事を説明するのは、やはり面倒だ。

何より両親が肩身の狭い思いをするだろう。


いっそのこと、嘘をついてしまおうか。

結婚はするけれども、わけあって結婚を延期しますと。

とりあえず食事会と称して、顔合わせ的な集まりだけを開くとか?

それで、ほとぼりが冷めた頃に、壮介の浮気が原因で離婚したと言ってやろうか。

それでも何かしらグチグチと言われるんだろうけど、結婚式を目前に控えて破談になったと恥をかくよりはマシなんじゃないか?


だとすると。

問題は、壮介の身代わりを立てなくてはいけないという事だ。

ほんの一日だけ壮介の代わりに、身内にいい顔をしてくれる誰かを見つけなくては。

だけど…そんな人いたっけな。

気心の知れた人はおおかた結婚式に招待しているし、そんな面倒な事、いくらなんでも知り合いには頼みづらい。

結婚式に招待した友人たちにも、できれば本当の事は知られたくない。


結婚を延期にするのに適した言い訳ってなんだろう?

壮介の父親が亡くなったとか?

いや、作り話とはいえ、勝手に殺しちゃうのは
さすがに気が引ける。

病気くらいにしておこうか。



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