どこにも行かないで、なんて言えないけれど
にやにやするお父さんとにやにやにやするお母さんを追い出して、鍋に火をかける。


今日は特別だ、はちみつを入れよう。


マグカップはどうしよう? お揃いにしたらさすがに駄目かな。


二人ぶんのホットミルクをいれて、わたしのぶんには少しはちみつを混ぜる。


かき混ぜていると、スマホに着信。


『今から行くね』

「はーい、と」


手早く返信して、姿見で変なところがないか確かめる。


髪ははねてない。編んだのもほつれてない。

服も大丈夫。

リップはぬった。


よし。


変なところがないのをしっかり確認して、片づけておいた部屋をもう一回片づける。


お皿も特別上品なものを出してきて、フォークも金色のおしゃれなのにして。


コースターはわたしが編んだ自信作。


準備が終わったちょうどに、碓氷さん特有の短さで、インターホンが鳴った。
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