どこにも行かないで、なんて言えないけれど
香水、いい香りだな、と何でもないことを考えながら、ぱんぱんと雪を払う。


えっと、他は……大丈夫みたい。

よし。


しんみりした気分を吹き飛ばすために、碓氷さんの背中を叩いてみた。


「おっけーだよ、っと!」

「ありが、おわ!?」


思い切り手を振り下ろしたら、パーン、となかなかにいい音がした。


「あ」

「……何で叩くかな」


恨めしげな碓氷さんにごめんと謝る。


「気分だったんだけど、ちょっと強かった、かなあ……?」

「かーなーり、強かった」

「……てへっ」

「可愛くない」

「ごめんなさい。もうしません」

「よし。許してつかわす」

「有り難き幸せ。あ、ホットミルクいれといたよ」


さらっと流しての申告に、碓氷さんは苦笑。


「はいはい」


風花ちゃんだから仕方ない、などと失礼なことを呟いている。


「いいから早くケーキ!」

「はいはい」


ホットミルクと小さなケーキをひとつずつ。


毎年変わらない二人のクリスマス。


わたしは早足で先を歩いた。
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