どこにも行かないで、なんて言えないけれど
「来年はさ、ケーキ、持ってこなくていいよ」

「え、なんで?」

「もう子どもじゃないもん」

「まだ子どもだよ」

「もう子どもじゃないよ。来年は大学生だよ?」


話しながら、碓氷さんをどんどん玄関に押しやる。


雪がやんでよかった。


泊まられたら、分かりやすいわたしのことだ、隠し通せるわけがない。


ここまで来て気まずくなるのなんか、まっぴらごめん。


ね、碓氷さん。


ごめん、ごめんね。


勝手に恋して、勝手に追いかけて、勝手に諦めるくせに、上手く笑えてる自信がないや。


「そういえば、女の子、生まれるんだって?」

「うん、今七か月」


きっと優しい二人によく似た、優しい女の子になるだろう。


眩しい想像をしたわたしに、碓氷さんが眩しく笑いかけた。


「風花ちゃんみたいな子になるといいねって二人で話してたんだ」

「え?」


目の前には、まぶしい、えがお。
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