どこにも行かないで、なんて言えないけれど
「……わたしなんかみたいになっちゃ、駄目だよ」


こんな醜いやつになんか、なっちゃ駄目。


ぽつりと呟く。


嬉しかった。

認められていたことが嬉しかった。


報われたのだ。


わたしの恋は報われたのだ。


それで充分。


これでいいんだ。


さあ、今こそ失恋しよう。


「…………好きだよ、碓氷お兄ちゃん」


……好きだったよ。


いつも言葉を飲み込んで、笑って。


大人な彼に恋した子どもなわたしの、精一杯。


ねえ、碓氷さん。お兄ちゃん。


いつか、思い出にできるかな。


いつか、綺麗な過去にしたいな。


『メリークリスマス、風花ちゃん』


どこにも行かないで、なんて言えないけれど。


叶うなら、あの優しい人たちが幸せでありますように。


願わくば、愛しい彼に、多くの幸あれ。
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