思いがけずロマンチック
今はひとりになりたい。
頭の中で呪文のように繰り返しながら向かったのは書庫。
書庫に溢れていた書類を片付けて、あとは処分する書類を纏めて廃棄するだけ。有田さんは手伝うと言ってくれたけれど頼まなくてもひとりでできる。
それに今は誰とも話したくない。
こんなときは狭い書庫で黙々と作業するのが一番だろう。携帯電話も机に置いてきたから、私を邪魔するものは何にもない。
定時まであと1時間半ぐらい、じっくりとひとり作業を楽しもう。こんな作業で残業するのはバカバカしいから、定時になったら席に戻ろうと決めて作業開始。
まずは廃棄するため纏めておいた書類を引っ張り出してきた。
廃棄書類は一応機密書類として業者に引き取ってもらうために専用の段ボール箱に詰め込んで、チューブファイルは分別廃棄するため表紙ととじ具を外しなければ。
最近の新しいファイルは簡単にとじ具が外れるようになっているけれど、古いファイルはそうはいかない。ドライバーをとじ具の隙間に差し込んで、ぐりぐりと引きはがす力作業。とじ具が浮き上がった時の感覚が意外と気持ち良くて癖になる。
単純な作業に専念していると、何にも考えないでいられるのがいい。