思いがけずロマンチック

「だったら私にやらせてください、もし笠間さんからの依頼があったら私に担当させてください」

「は? お前はもう営業担当ではないだろう、今回の企画が最後だったはずだ」

「ですが、新しい担当に代わって一から説明するよりも話が早いでしょう? 私なら笠間さんの趣向もわかります」

「そうだが……、お前には他の仕事がある」


有田さんは明らかに取り乱してる。目を見開いて早口で捲し立てる声が上がったり下がったりして覚束ない。


そんなに私に営業の仕事をさせたくないのか、と思うと腹が立ってくる。意地でもやり遂げてやるんだという気持ちがふつふつと湧き上がってくる。


「今回が最後とは言いましたが笠間さんの担当として最後までやらせてください、お願いします」


まっすぐに有田さんを見据えたまま、ひと息で言い切った。


暫しの膠着のあと、有田さんが諦めたように息を吐く。


「わかった、まだ依頼があるとは限らないが依頼があった時には頼む」


答えを聞いた瞬間、勝利を収めたと確信した私は心の中で大きくガッツポーズ。もちろんそんなこと、顔に出したりはしないから有田さんは気づくわけあるまい。

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