思いがけずロマンチック

「閉店は残念だがいい仕事に繋げられるといいな、お前の熱意にはいつも感心させられる、安心したよ」


有田さんが私を見て緩やかに口角を上げる。
沈みがちだった表情がゆるゆると解けて笑顔へと変わっていく。細めた目につられて眉が下がって優しい顔になる。


この笑顔、私は嫌いじゃない。


「ありがとうございます、依頼があればしっかりと引き受けさせて頂きます」

「念のため笠間さんのフォローをしておくように、それと今から外出することになった、今日は戻らないから……」


有田さんの笑顔につい見惚れてしまいそうなところだった。

私が反応に困っていると有田さんが頭を下げた。手元にある手帳を見たのかと思ったけれど、視線が向かう先は違ってる。


「悪いが今日は弁当はいらない、作ってきてくれたのなら本当に申し訳ない」


「謝らないでください、今日は作れなかったのでちょうどよかったです、寝坊して時間がなかったので……」


嘘ばっかり寝坊なんてしてないし作るつもりもなかったくせに。むしろ今朝は早く出社して休憩室で朝ごはんを食べたじゃない。
平気な顔をしてそんな嘘を言える私はきっと歪んでる。

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